1. 何が出され、何は出されていないか

NARAは2026年8月21日、AC 11.2026と7ページの指針を公表し、既存の連邦記録法を現在のAI利用に適用した。入力、出力、データ、監査証跡、ソフトウェアなどを扱うが、新たなAIガバナンス制度を作ったものではなく、プライバシー、セキュリティ、倫理、eディスカバリーを決めるものでもない。

対象は米国連邦機関で、民間企業、サウジの組織、他国政府を直接拘束しない。ChatGPTやClaudeのすべてのプロンプトを連邦記録に変えるものでもない。プラットフォームの利用自体ではなく、公務における作成、維持、利用の状況が決め手となる。

  • 新法か:いいえ、既存法の適用指針。
  • 全対話が記録か:いいえ、状況で決まる。
  • 即時削除できるか:承認済み日程が必要な記録は不可。
  • 世界共通か:いいえ。ただし契約を通じ要件は波及し得る。

2. 技術的痕跡が記録へ変わるテスト

公務で使ったか、判断に依拠したか、職員間で回覧したか、機関システムへ統合したか、機関の管理下に置いたか、法務・業務上保存すべきかを問う。保存しない個人的な探索は非記録でも、FOIA検索の十分性を示すプロンプトは案件ファイルに入る可能性がある。

公式議事録となったAI要約、保存して業務に使った出力、調査に用いた監査証跡、調達・運用文書、学習に使った機関記録の複製、機関が自ら又は契約で作成したアルゴリズム、モデル、コードは記録になりやすい。拡張子ではなく証拠としての機能が重要だ。

3. 自動保存は法的分類ではない

ベンダーが全問い合わせを保存しても、受動的保管だけで連邦記録になるわけではない。セキュリティ部門が特定職員のAI利用ログを取得し調査に使えば、調査ファイルの一部になり得る。誰が、何を、いつ、何のために、どの版で取得したかを残す必要がある。

逆に、会話削除ボタンは廃棄権限ではない。記録の定義を満たすAI資料にはNARA承認済みスケジュールが必要だ。180日未満だけ必要な一時的記録や後続記録を作る中間記録にはGRS 5.2が使える場合があるが、名称だけで条件を満たすわけではない。

4. RFPと契約に入れる六つの受入試験

添付とメタデータを含む会話を可読形式で書き出せなければ、承認済み保管庫へ移せない。モデル版と設定を残さず回答を再生成できるだけでは、意思決定者が見た内容を証明しにくい。管理ログに利用者、時刻、用途がなければ、個人の痕跡と調査証拠を分けられない。

完全な案件をエクスポートし、リーガルホールド中の削除を止め、記録種別ごとに期間を適用し、変更履歴を確認し、期限後に削除証明を受け取る。契約にはバックアップの場所、終了時の記録支配権、モデル改善用コピーを含むかも明記すべきだ。

  • 完全出力:プロンプト、添付、出力、時刻、本人性。
  • 証拠固定:可能な範囲でモデル版、設定、参照。
  • 選択保存:全体タイマーではなく目的・記録分類別。
  • リーガルホールド:他の方針を壊さず廃棄を停止。
  • 可搬性:独立した記録保管庫へ移行。
  • 削除証明:本番とバックアップを監査可能に。

5. すべてを保存せよ、ではない

全面保存はプライバシーリスク、費用、証拠開示量を増やし、重要記録を埋もれさせる。全面的な早期削除は意思決定や調査の証拠を消す。利用事例ごとに資料分類、所有者、保存根拠、保管先、停止・廃棄イベントを結ぶ設計が必要だ。

GAOの基準値は緊急性を示す。選定11機関の生成AI事例は2023年の32件から2024年の282件へ、AI全体は571件から1,110件へ増えた。2026年値でも政府全体でもないが、新指針以前から記録対象面が拡大していたことは分かる。

6. 米国法を輸入しないサウジへの示唆

連邦記録法をサウジの義務として扱うべきではない。ただし、目的、分類、保存、廃棄、監査を分ける設計は現地ガバナンスにも通じる。サウジのデータ共有方針は目的、分類、保管、保護、廃棄を文書化し、政府機関に共有要求と関連文書を終了後5年間保持するよう求める。

移せるのは構造的教訓だ。何が公式証拠となり、誰が所有し、どう出力・保護・廃棄するかを定めずに公共部門アシスタントや企業エージェントを調達してはならない。実際の期間と義務はNARAではなく、該当するサウジの法令、方針、契約が決める。